謹賀新年2017

あけましておめでとうございます。2017年もご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。

白老の滑走路は、うっすら積もった雪が冬の日差しで溶け、部分的にパリパリの氷になっていました。エプロンでは除雪車が待機中です。

幼稚園のビーチ

寒い日が続くと夏の浜辺が恋しくなりますが、ここはビーチクラフト機のハナシ。新千歳空港の進入経路下にある幼稚園には、むかし海上保安庁で使われていたレシプロ双発機、JA5509 (Beechcraft Super 18) が置かれています。この機体はモデルH18Sだそうです。

園児たちが休みの日に見学させてもらおうと訪れたのですが職員の方もいらっしゃらず、柵がなかったので機体の傍で撮影させていただきました(許可なく敷地内に立ち入り、申し訳ありません。この場をお借りしてお詫びいたします)。機体は築山のやや高い位置に置かれ、脚がしっかり固定されています。機内には入れないよう扉がビス止めされ、「あぶないから飛行機の上にのぼらないで!」という看板もありました。前縁の防氷ブーツの破れが目立ち、機首に穴が開いていたり、へこみ、ゆがみや錆なども当然ありますが、状態はさほど悪くなさそうです。でも海保カラーの青はかなり色あせていました。

海上保安庁が初めて導入した飛行機がビーチクラフトE18Sで、JA5501(製造番号BA-125)とJA5502(同BA-126)の2機、60年前(1956年)のことです。その後、モデル18は8機まで増え、最後の機体であるJA5509(同BA-762)は1969年の製造で12年間千歳航空基地で活躍し、退役(1981年)したそうです。

尾輪式から前輪式へ

ビーチクラフトのモデル18はマベリックと同じく尾輪式なのですが、このJA5509は写真のように前輪式(tricycle landing gear)です。米国Volpar社により前輪式への改修キットが提供されていたそうで、JA5509は輸入当初から前輪式だったとのこと。前脚の格納部にあるプレートから、「VOLPAR, INC.」「…TRICYCLE LANDING GEAR」と読めました。

この改修は簡単ではなさそうです。尾輪を取り外して前輪を取り付けるだけではなく、機体重心より前方だった主脚の取付位置を、重心より後方へ移さなければなりません。尾輪式のJA5501やJA5506などの写真と見比べると、JA5509は主脚の引き込み方向が変わっていることが分かります。脚上げ時、主脚が後方に上がって格納されていたものが、前方へ格納するように変えられています。主脚の取付位置を後方に移動させたんですね。元々格納時でも少しだけタイヤがはみ出ていましたが、脚ドアの形状を見ると改修後も同様だったようです。

加えて、新たに引き込み式の前脚を取り付けるため、機首部が延長されました。前脚は前方に格納する方式になっています。これらの改修で少し前が重くなり、重心位置が前方に移動したと思います。

でも、これだけで大丈夫かな? 駐機中の乗り降りや荷物を積むと尻もちをついたりしないの? と不安に思っていたところ…見つけました。同じく前輪式のJA5507の写真には、お尻につっかい棒がしてありました。これなら安心。駐機中の尻もち事故って、貨物専用機の積み込み・積み卸し中に重心位置が変わって、意外に発生しているようです。着陸時のテールストライクに比べれば被害は軽そうですけどね。

古い写真を見比べると、ほかにもいろいろ改修されているようです。その一つが乗降ドア。扉を開くと階段になるタイプです。尾輪式ではお尻が下がっていたのに、前輪式ではお尻が上がるため階段のステップが斜めになってしまいます。それもきちんと直されていました。すごい改修キットですね。ネットには当時の値段も出ていましたよ。

子供たちのビーチ

退役して35年経っても地上展示され役立っているJA5509ビーチH18、ボロボロになってもいいさ、園児たちに思い切りさわらせてあげなよ。将来りっぱな航空人になる子がきっと出てくるでしょう。でも、元気なおともだち、ケガしないようにね。

※ この記事は以下の資料等を参考にさせていただきました。

コメント

  1. イカゴロ より:

    “Beechcraft”のエンブレムは、+ネジ4本でいつでも外せるようになっているようですが、よくぞ今まで残っていましたネ。航空マニアからすると、とても貴重なものと思いますので驚きです。このまま静かに見守ってあげたいですネ。

    • やぶ悟空 より:

      興味深い部分は、鉄ちゃんの「○○鉄」のように、マニアそれぞれなんでしょうね。地元住民の方からも残してほしいという声があったそうです。

  2. M,ISHII より:

    ビーチH-18 懐かしいなー
    小学生の時、仙台空港で訓練していた航空大学校のH-18をいつも眺めていました。
    ダブル星型エンジンの爆音が聞こえてくるようです。当時の航空大学校のH-18はノーズギヤタイプだったように思います。あの機種の学生が今、全国を飛び回っているのですね。

    • やぶ悟空 より:

      いつもコメントありがとうございます。やっぱり尾輪式は難しいってことですよね。だからこんなキットがあったんだろうナと思います。またお待ちしてます。

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