タッチ・アンド・ゴー訓練

9月24日は弱い南の風で、わずかに横風の修正が必要でしたが息はなく安定しており、滑走路12での訓練日和でした。午前中は地上滑走とジャンプ飛行で慣らし、午後1回目のフライトでタッチ・アンド・ゴー(TGL)を6回、2回目のフライトでは教官のデモンストレーションの後にTGLを3回、しっかりと密度の濃い訓練を受けることができました。ガーミンGPSの記録を基に、TGLを分析してみます。
(TGLは「Touch-and-go landing」の略で「連続離着陸訓練」のこと)

飛行航跡

まず、トラフィック・パターンの航跡を平面上で見てみます。2か月前(7月)、1か月前(8月)の飛行と比較してみましょうか。そのころはまだTGLを任せてもらえるレベルにはなっておらず、教官の指示どおり場周経路を周回したり、進入しても滑走路上をロー・パスする程度でした。

trk_3month

7月のパターンはひどい航跡ですね。3周してこんなにバラバラです。1か月後の8月は格段に上達したようには見えますが、パターンが台形っぽいし、ファイナルに入るとき一度オーバーシュートしてるし…。その1か月後の9月は、計9回のTGLを行って航跡がおおむね重なっています。赤色の航跡は教官のデモンストレーションです。この9月に着目してトラフィック・パターン1周の所要時間をみると、最短で4分ちょうど、最長で4分20秒でした。1周4分ほど(平均4分08秒)ですね。

tkofclimb

細かく見てみましょう。滑走路12からの離陸直後、上昇中の航跡にややバラツキがあり、滑走路中心線の延長線をまっすぐ上昇できていないようです。第1旋回ではバラツキが広がっています。飛行禁止の「人家の直上」は避けていますが、ブルーの旋回の方がマシですね。イエローの航跡6本(午後1回目)は第1旋回が90度になっていないような気がして、教官のデモを見た後で修正しました。それがブルーの航跡3本(午後2回目)です。過去のGPS航跡を見ると私は第1旋回では回りすぎる傾向があるようです。風に流されているのかも…。常に風を考慮して機首方位を修正しなければなりませんね。

ダウン・ウィンド・レグでは前方に見える直線道路が目安になります。この日は南風を考慮して偏流角をわずかに左へとりました。

finalapch

高翼機マベリックの狭い操縦室では、頭が天井ぎりぎりになって主翼の厚みの中に入ってしまいます。そのままでは横方向はやや下の方しか見えず、ファイナルへの旋回では滑走路を捉えにくい気がします。つい体を前のめりにしてしまうんですが、原則としてアイポイントは変えない方が良いはずですね。

ベース・レグからファイナルへ旋回した後は、9本全ての航跡がほぼ重なって滑走路12にまっすぐに進入しており、まずまず上出来かなと自己満足です。では、進入高度はどうでしょう?

進入高度

精度の高い進入高度の分析は、私が使っているガーミンGPSでは困難であることを最初にお知らせしておきます。いろいろな誤差を軽減するための処理や補正などができないのです。また、原理上、GPSの高度データは水平方向に比べて誤差がかなり大きくなります。でも、せっかく高度データも取れているので、誤差を意識しつつ分析してみました。

計9回のTGLを、午後イチの進入6回と、休憩した後の進入3回に分けてグラフにしました。午後2回目のグラフ(右上)には教官のデモフライト(赤線)も含めました。

縦軸は標高(m)です。横軸は経過時間(秒)で1分間の幅とし、0秒(左端)は滑走路12進入端から距離800m地点にしました(800mとした理由は「進入角と高度」記事をご覧下さい)。横軸を「距離」ではなく「時間」にしたので、グラフ左の方から進入してきたマベリックを機体右サイドから見ている状況とは少し異なります。進入角ではなく、降下率(単位時間当たりの高度変化)に着目しているとお考え下さい。

tgl_altitude

滑走路12進入端の標高は15.0mで、破線を書き加えました。6回分の進入のグラフ(左下)では、滑走路上の高度データが数メートル~10メートルとなっており、滑走路の下にもぐり込んだように見えます。大雑把にこれぐらい高度の誤差があると見て良いでしょう。休憩後の3回分の進入のグラフ(右上)ではこの差が小さくなって、まあまあの精度かなと思います。飛行した時間帯が少し違うため、電波を受信できるGPS衛星の組み合わせが変わって誤差の大きさも変わります。

グラフの左端(進入端の手前800m)に着目すると、計9回の進入高度は250~300フィート程度です。この高度は進入角に換算すると、「進入角と高度」記事で紹介したように4°~5°程度になります。高度誤差を考慮するともう少し高めの場合があったかもしれません。おおむね想定したとおりの進入高度だったことが確認できました。進入パスのバラツキもあまり大きくはなく、ひいき目に見れば滑走路に近づくにしたがって収束しており、イイ感じと思います。

このGPS記録では、接地直前のフレア(機首上げ)操作まで分析できる精度はありませんが、感触としては高起こしもなくハード・ランディングもせず、悪くはなかったと思っています。余談ですが、尾輪式の機体では、地上走行や着陸時のフレア操作で前方が見えなくて方向維持が難しいだろうナと思っていました。ところがマベリックに乗ってみると、直立で搭載されたエンジンのためか前方視界は意外に良く、座布団のおかげもあって滑走路中心線が見えなくなることはありません。セスナ172は尾輪式じゃないですが、水平対向6気筒エンジンのカウルが、フレアをかけると接地直前に前方滑走路を隠してしまうので、その先の地形や雲などでなんとか方向維持していたことを思い出します。

念のため、この日の風をアメダス白老のデータで見ておきましょう。気象庁のホームページで「過去の気象データの検索」から「10分ごとの値」を抜粋しました。

wind_10min

赤色の網掛け部分が飛行した時間帯です。午後イチでは南の風で平均風速3m/s、最大瞬間風速が4m/s程度、日照もたっぷりありました。午後2回目のフライトも南の風で変わらず、風速がわずかに強くなったものの平均3.5m/s程度、最大瞬間で5m/sほどでした。「白老の風」記事に書いたような丘越えの風による気流の乱れはほとんど感じられず安定しており、わずかに右へクラブアングルを取って進入する、ちょうど良い訓練となりました。

wind_20160924

白老FCの教官の方々にご指導いただきながら、わずかずつですが訓練時間を積み重ねることができたおかげで、マベリックの操縦も少しは進歩していることがGPS記録から読み取れるように思います。これから冬に向かって北西風にも対応できるよう、さらに飛行経験を重ねていきたいですね。

コメント

  1. イカゴロ より:

    グーグルアースとのGPSデータのトップ画像、非常に綺麗です。鶴野顧問作成のベーシック場周経路図にピッタリと重なり、過去飛行航跡を見る限り、この日の充実した訓練で腕を上げたのが一目で分かります。やはり、元空自の飛行教官にマンツーマンでしっかりと教わると違いますネ。もちろん、やぶ悟空さんの持前のTGL基礎力あってのこととは思いますが。クラブのためにも、近い内により精度の高い携帯GPSをゲットしてくださいナ。
    ちなみにAIPを差し替えていましたら、出版物に使用される略語のGEN2.2-20ページに「ULM 超軽量航空機(Ultra light motorized aircraft)」が新しく加えられました。やぶ悟空さんの投稿記事でマベリックも徐々に認知度が高まればと思っています。

    • やぶ悟空 より:

      ありがとうございます。方々のご指導のおかげです。
      略語は「ULM」ですか。AIPに掲載されたのなら正式な用語ですね。今後、使ってみます。

  2. M,ISHII より:

     素晴らしい教官と、飛行後の分析を綿密に行っているの見て、操縦技術は格段に向上する事でしょう。羨ましいです。
     自分の飛行を振り返ると、飛行中の緊張感と飛行後の達成感にひたりっぱなしで終了でした。技術の向上など望めることもないですネ。

      

    • やぶ悟空 より:

      適度な緊張と飛行後の達成感、これらなしでは上達も成功も難しいでしょうね。私は両足ペダル操作の緊張を解こうと思ってます。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*