旋回と機体特性

白老滑走路上空での左右360度旋回のGPS記録、3回分です。無風で安定した気流の好条件でしたが、このありさまです。お恥ずかしい限り…。

3回とも同じエントリーでしたが、右360度+左360度旋回が終わった出口がバラバラですね。さすがに3回目(イエロー)は滑走路上空を通過するよう意識しました。ブルーインパルスのように綺麗に描いたツモリでしたが、円になっていないばかりか左の旋回半径が右に比べて小さくなっています。

もしや機体の特性のせいでは?と、旋回に影響しそうな次の4項目について検討してみました。

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1.プロペラの反トルク

プロペラの回転により発生する反作用です。小型飛行機の代名詞のように使われる「セスナ」、この単発機のプロペラはパイロットから見て右回り(時計方向)に回転しますが、マベリックは左(反時計)回転です。エンジンがプロペラを左に回転させるため、エンジン(機体)はその反作用で右ロールしようとします。そのため右旋回に入りやすいと言えそうです。また、エンジン回転を上げるときは右ロールが、絞るときは左ロールが出るはずですね。

2.Pファクター

一般に、水平飛行中の飛行機はやや機首上げ姿勢になっているため、プロペラ回転面がやや上を向きます。プロペラ・ブレードが上から下に進むとき(マベリックではパイロットから見て左側半分)と、下から上に進むとき(右側半分)では、飛行方向に対するプロペラ・ブレードのピッチ(迎角)が異なることになり、推進力にわずかな差(左側が強い)が生じます。そのため機首が右に向きやすいと言えそうです。

3.プロペラ後流

前方のプロペラから発生した気流は、プロペラの回転方向にねじれながら機体のまわりを流れます。これが垂直尾翼に当たると機首を右または左に向ける力が生じます。プロペラ左回転のマベリックでは、ねじれた気流は右側から垂直尾翼に当たるらしく、機首が右に向きやすくなります。

この影響を少なくするため、マベリックは垂直安定板がわずかですが右に向けられています。(プロペラ右回転のセスナ172ではやや左に向いています)

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4.ジャイロ効果

プロペラが回転しているときは回転軸(機軸)の方向を維持しようとする力が働いています。そこに軸を傾けようとする力を加えると、その力が回転方向に90度進んだ位置に生じるというものです。マベリックはプロペラが左回転しており、例えば左旋回のため機首を左に向けようとすると、プロペラ回転方向に90度進んだ方向の下向きに力が加わる、すなわち機首下げの力が働くようです。右旋回では逆に機首上げ傾向ですね。

いずれの特性も少ない字数で説明が不十分でしたが、疑問を感じたり詳しく知りたい方は調べてみて下さい。ただ、プロペラ右回転の飛行機が多いため、記事や図はマベリックと逆の説明になっている場合があるのでご注意を。セスナ172の飛行経験しかないので比較のため取り上げましたが他意はありません。

で、結論は?

これら4つの特性のうち、1~3は右旋回(右ロール)しやすい要素のようです。4は左旋回時に機首が下がりやすく、左の旋回半径が小さくなりがちなことを示していると思います。マベリックでこのジャイロ効果がどれぐらいの大きさで影響するのか、今の私のレベルではつかめませんが…。

でも、これだけでは説明の付かないことがあります。

マベリックは地上走行中に機首を左に向けるのは容易ですが、右に向けるには右足の強い踏み込みが必要です。地上での低速走行なのでプロペラの反トルクやジャイロ効果は無視するとしても、Pファクターとプロペラ後流はこの実感とは逆の特性のハズ…。

加えて、マベリックのマニュアル(Pilots Operating Manual)にこんな記述を見つけました。「離陸:スロットルを徐々に加え、すぐに操縦桿を前に押して尾部を持ち上げる。飛行機は徐々に左へ振れる。機体は自然に浮き上がる」。

これらのことは、マベリックは機首が左を向きやすい特性を持っていることを示していると思います。でも、なぜそうなるんでしょう?長いこと考えてますが一向にひらめきません。中途半端で誠に残念ですが考察はここまで…。左側だけ小さな旋回半径になってしまったのは、実のところ、これら以外の要素、すなわち「技量不足」ということなのでしょうね。今後、いっそう精進することにします。

コメント

  1. M,ISHII より:

    ULPを初めて6年、非常に勉強になります。
    現在着陸が上手くできずに悩んでいました。
    操縦のノウハウなどもっと取り上げてくださることを期待しています。

    • やぶ悟空 より:

      お読みいただきありがとうございます。ULPの大先輩ですね。もっと訓練を重ねて操縦の感触まで書きたいナと思っていますので今後ともごひいきに。

  2. 通りすがりの技能証明保持者 より:

    記事楽しく読ませて頂きました。記事の中の離陸時のノーズダウン操作において左に偏向する特性についつは、当該MLPや多分動力滑空機もそうですが尾輪式でかつ左回転のプロペラで滑走開始時にノーズダウン操作を行う事でジャイロプレセッションの効果によって90度先行した方向に引っ張られます、これを摂動といいます。左回転プロペラの場合はジャイロ効果以外は全て右に取られる傾向を示しますが右回転の場合は全て逆の傾向を示します。気になったら一度調べて見てください。
    では、今後も安全運航とクラブの益々の発展をお祈りいたします。

  3. 通りすがりの技能証明保持者 より:

    先ほど投稿させていただい者ですが私の投稿が誤っていたので削除をお願いします。機首下げ操作時は右から偏向で機首上げ時が左偏向の間違いでした、なので機首下げ滑走中の左偏向特性はマヘリックの特性と思われます。大昔白老で何度かお邪魔させていただいたもので、何か書きたく懐かしくて投稿させていただきました。申し訳ありませんでした。

  4. 通りすがりの技能証明保持者 より:

    左回転プロペラで離陸時の走行中に左に偏向する特性の件ですが、航空力学を調べた結果、滑走中にプロペラ後流が地面に遮られる分や走行速度も遅いことから風が尾翼の下に当たって若干尾翼を持ち上げる特性もあるようです。この場合はプロペラ後流が垂直尾翼の右から当たる風が弱くなり尾翼のオフセットが生きて左に偏向するかもしれません。多分尾翼のオフセットが付いてるのでエンジンを左にオフセットはしていないと思いますがあくまでも推測ではあります。では安全運航で!

    • やぶ悟空 より:

      コメントありがとうございます。ご指摘いただいたアタリを再度よ~く考えてみたいと思います。理屈ばかりでは腕前が上がらないとは思いますが、理屈が分からないとスッキリしないものですから…。またご指導下さい。

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